Sea turtle nesting

ウミガメの産卵を見学するには、当日の15時までに宿泊しているホテルで資格を持っているガイドによる団体ツアーへ申し込まなければいけません。

ウミガメはどの種も絶滅危惧種に指定されており 産卵の見学もものすごく厳格なルールでさだめられています。まず、このツアーに申し込まないと産卵は見学できません(トルトゲーロの海岸は夕方6時から朝6時までは資格のないガイドと以外海岸に立ち入る事ができない)。

ウミガメは基本、上記の立ち入り禁止時間の間に、海岸に産卵しにくるようです。

 

産卵見学中は、

・写真撮影一切禁止

→もし撮影しているのが見つかってしまった場合、同じグループ全員が即国立公園外へ退去させられ、ガイドは資格剥奪

・黒い服を着用する

→亀はあまり目がよくないが明るい色は識別できるらしく、白い服を着た人間などが浜辺にいるのを見ると、上陸してこない

・虫除けスプレーなどはツアー開始の20分前に

→嗅覚がすぐれているので香水等も禁止

 

ツアーは8時からの回と10時からの回があり、私たちは10時からの回に割り振られました。

海岸では国立公園のレンジャーが見回りをしていて、どこかの海岸にウミガメが上陸してきたらガイドに無線で知らせ、私たちがそこへ真っ暗闇の中かけつける、という流れです。15分くらい待機していると、カメ上陸の連絡が。ぎゃ〜!きたー!

ただ、その上陸したカメは私たちがそこへたどり着く前に、海に引き返してしまいました。理由は多々考えられるそうで、

・人間の存在を察知して、危険を感じ引き返した

・そこの砂が気に入らなかった(ふわふわの砂じゃないと卵がうまく育たないし、海岸にゴミが産卵しているとそもそも穴を掘れない、、などの理由があるらしいです。ゴミというのはペットボトルとかそういうのだけではなく、波で流されて来た流木や海藻など。基本人間のゴミはあまり落ちていません)

 

私たちは

①産卵しているアオウミガメ

②産卵を終えて、後ろビレで卵を埋める作業をしているアオウミガメ

③産卵を終えて海に帰って行くアオウミガメ

※②と③は同一個体

の2匹の個体を見る事ができました!!!!アオウミガメは、自分が想像していたよりももっと大きくて、動きのゆったりした感じや身体の素材?が、なんだか見ているだけで1万年前とかにタイムスリップしたような気分になりました。最大のカメ、オサガメは見れませんでしたが、アオウミガメも十分巨大でした。

 

産卵の瞬間は、テレビとかで見た事のある、あの光景。

youtu.be

卵を産み落とす穴は結構深かったです。私も、この動画と同じくらいの近さでカメのお尻に顔を近づけ笑、産卵の瞬間をじっくり見る事ができました。私の時は中の卵がもっと見やすかったくらいです。

 

ちなみに、種にもよりますが1度に100個ほどの卵をうむらしく、そんなに積み重なったら下の方の卵つぶれないの!?100個もどうやってお腹のなかにしまってたの!?(人間みたいにお腹が大きくなる訳でもないし…)とガイドさんに聞いたところ、爬虫類の卵は殻が柔らかいから大丈夫なんだよ、とのこと。たしかに産み落とされてポトっと下に落ちて行く卵をよーく見ていると、ぶよよーんと弾力があるみたいでした。お腹のなかにある時も、柔らかいからぎっしりコンパクトにしまってあるのか。鶏の卵とは違うのね。

 

卵の性別は温度で決まるそう。30度以上(うらおぼえ)の環境だったら全員メス、それ以下ならオス、という具合みたいです。

 

私たちがそんなにお尻のところに顔を近づけて見ていて、カメは逃げないの?という疑問が浮かびますが、それも面白いことに、産卵中のカメはin-trance、いわゆるトランス状態らしく、一度生み始めたら止める事はできないとのこと。あまりに彼らを驚かせる大きな音をたてたりストレスをあたえたりすると、卵を産みながら垂れ流し状態で海に帰ってしまうんだそうです。

 

ちなみに4日前にツアーへ参加した人たちは1匹も見る事ができなかったそうで、自然が相手のことですのでしょうがないのですが、ほんとうに気の毒です。。

 

YouTubeからまたしても動画拝借。海に帰って行くカメちゃんです。私が見たカメちゃんも、暗闇の中ゆっくり一生懸命砂をカキカキして、帰って行きました。感動して涙が…

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カメは孵化したときの、その海岸の土壌成分を覚えているらしく、大人になって産卵するために、自分が産まれたその海岸にまた戻ってきます。なんというストーリー!また涙が出そうです。笑

 

ウミガメのメスは、1シーズンに多くて9回産卵するそうで、つまり1シーズンの間に同じ個体が同じ海岸に最大9回産卵に来るそう。ウミガメのメスはオスの精子を3年(これも記憶があやしいので間違ってたら是非ご指摘お願いします)体内に保存しておく事ができるそうで、9回産卵する場合も、交尾は1度で十分だとか。すごい。

 

何千年も何万年も前からほぼ変わっていないというウミガメの神々しい産卵ひとおおり見学できて、大満足でロッジに戻り就寝するも、夜に雷雲がきて、いままで聞いた事もないような雷の音を聞き、飛び起きました。こわくて眠れないね…なんて言いながら、気づいたら多分10分くらいでまた眠りについた私。我ながらほんとうに寝付きだけはすばらしいです。

 

翌朝は早起きして、海岸へ。明け方なら、ロッジの前の海岸で子ガメの孵化が見れる可能性があるのです。

朝6時までは海岸は立ち入り禁止だそうですが、5時半くらいならもう怒られないよ、と言われたので、5時半きっかりに浜辺へ。

でも、孵化した子ガメちゃんは見る事ができませんでした。

今(八月上旬)は産卵のベストシーズンなので、とうぜん孵化のベストシーズンはその1ヶ月後の9月くらいであるわけで、今はまだ孵化するタイミングの卵が少ないから、しょうがないのですが…。

↓こんな可愛い子ガメちゃん、見たかったなあ。(動画借りてます)

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代わりといってはなんですが

産卵後のtrack(カメの足跡、っていうんでしょうか)は発見できました。

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奥が来た時で、手前が海に帰っていった時のものかな。

なんと、産卵跡も!!!少し見にくいですが、この穴の大きさからアオウミガメがどんなに大きいかわかっていただけると思います。

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わー。私たちが寝ている間に、このロッジの目の前の海岸で産卵していたんだね!!と友人とキャッキャ大盛り上がり。

 

コスタリカでは法律で禁止されているものの、まだウミガメやウミガメの卵を食べる文化が残っており、墓荒らしならぬ卵荒らし?があとを経たないそうです。上記のように、ウミガメが卵を産んだあとは誰がどうみても明らかなので、どこに卵が埋まっているのか、海岸を歩けば簡単にわかってしまうのです。国立公園のレンジャーもこまめに見回りしているものの、すべての海岸を同時にモニタリングできるわけではないので、やはり掘り起こして持って帰ってしまう人はまだいるみたいです。

 

とは言うものの、トルトゲーロの人たちにとってかつては獲物だったウミガメが、今は貴重な観光客の呼び水となっているわけで、穫る歴史から彼らを護る歴史に変わって行ったのです。ガイドのひとたちは、1回のガイドで大体100ドルくらいの収入を得ます。産卵シーズンは大体3ヶ月ですので、この期間ぶっつづけで働いたとして、約1万ドル(100万円以上)の収入を3ヶ月で得る事になります。これはコスタリカの平均収入から考えても非常に大きいものだそうです。

カメさまさまですね。

 

つづく。